(追記)下記、関心のある方は、ご参照。
粉飾決算の簡単な仕組みや、パナソニックやシャープの動向について取り上げていきます。
メガバンクが中小企業向けの損失処理
キーワード
(1)為替デリバティブ(金融派生商品)(2)歴史的な円高が要因
(3)円高が収束せず、今後も増加
為替デリバティブ(金融派生商品)
円安と円高で損得が決定
ポイントは、為替デリバティブとなっていることです。デリバティブにもいろいろ種類があるのですが、ひとまず為替関連ということを頭に入れて下さい。通貨オプションとは何か
輸出企業と輸入企業の比較
正確に言えば、権利の売買なのですが割愛。上記は分かりやすいと思います。
輸出企業の場合
○輸出企業を想定すると、品物を売ってドルが入ってきます。
○為替が円高ドル安になると、手元のドルが目減りします。
○手元に1万ドルある場合。
1ドル100円→1ドル80円になると、1ドル100円×1万ドル→1ドル80円×1万ドル
20万円の損失になります。
輸入企業の場合
○輸入企業を想定すると、品物を買うためにドルが必要になります。○為替が円安ドル高になると、より多くの円が必要になります。
○手元に100万円ある場合。
1ドル100円→1ドル120円になると、1ドル100円×1万ドル→1ドル120円×1万ドル
20万円の損失になります。
先物取引(為替予約)と異なる点
契約がオーダーメード
企業ごとに契約がオーダーメードで、個別の契約を見る必要がある点です。凄く簡単に言えば、ある一定の為替水準になると、急に購入するドルの量が倍・3倍になり損失が激増することに繋がる点です。
銀行は契約時に利益を前倒しできる
『契約期間は5~10年と長く』となっていますが、正確には間違いです。もっと短期のものもあります。
ポイントは、銀行が利益を前倒しできる点にあります。ダイヤモンドが上記で言っていることを言い換えれば、契約時に利益として計上できることです。
利益を先食いできるということは、契約期間がより長期のほうが契約時に入る利益が大きくなります。そこで、銀行や証券会社にとってより長期間の契約を行う誘引が生まれてくる事になります。
銀行別の損失 報道続き
銀行別の損失
上記の損失金額まとめ
○みずほ銀行 約300億円○三菱東京UFJ銀行 約100億円
○りそな銀行 約65億円
○三井住友銀行銀行 数十億円
○その他銀行
ADRによる和解手続
ADRと紛争申し立ての増加
ADRとは何か
裁判をすると、弁護士が相手を逆なでするような主張そしてこじれるし、裁判は時間がかかるので、当事者同士に第3者を加えて決めようという話です。
斡旋と仲裁で大きく異なるのですが、細かい点は上記参照。
第3者の提案に対して強制力があるか、ないかの違いですね。
和解手続の増加について
さて報道では、ADRを用いた和解手続の増加の理由について、認知が高まったとありますが、これは正確ではありません。冒頭のキーワードに再度注目して下さい。(2)歴史的な円高が要因
(3)円高が収束せず、今後も増加
この報道では触れられていませんが、円高が収束していれば、損失は減少します。つまり、円高が長引いていることが、この契約を締結した中小企業の体力を奪っているということです。
ダイヤモンドの特集に詳しく書かれていますが、銀行が優越的な立場を利用して契約を締結しているケースが紹介されています。あの銀行がADRに応じるのも、その点に落ち度があるからです。
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