東北メディカルメガバンク計画と福島県子供の遺伝子解析

15万人を対象にした、東北メディカルメガバンク計画という遺伝子解析計画が、進んでいます。先日、細野大臣は、福島県子供の遺伝子解析を発表しており、被ばくによる解析データが何に使われるのか相当注意すべきと思います。



毎日新聞記事

Facebookで見つけました。
9月25日の毎日新聞の記事のようですね。

文字起こし


 男性の『高齢出産』にもリスクがある。先月、アイスランドのバイオ企業『デコード・ジェネティクス社』が発表した研究結果はインパクトがあった。

 生殖細胞の遺伝子に生じる突然変異によって、子どもは新しい変異を持って生まれてくる。父親の年齢が上がるとその変異が増え、子どもが障害を持つリスクが高まることがわかったというのだ。

 この結果は父親になるかどうかの決断を左右するほどのものではない。一方で見逃せない事実もある。次世代に伝わる遺伝子変異を集団で調べようと思えば、父親の年齢も考慮しなくてはならないということである。

 低線量被爆の影響を調べるため福島県で遺伝子解析を行う。そんな計画を細野豪志・環境相が明らかにしたのは先月末のことだ。環境省の概算要求によると、対象は5年間で両親と新生児500組(1500人)。血液やさい帯血を採取して全遺伝情報(ゲノム)を解析し、精子や卵子の被ばくによる新しい変異が子どもで増えていないかを確かめる。来年度の要求額は11億9200万円。目的は『福島県で安心して子どもを産み育てることができる環境を実現すること』だ。

 これを聞いて、まず頭に浮かんだのは、この方法で被ばく影響の有無が明らかにできるのかという疑問だ。誰でも新しい変異を持って生まれるので、被ばくの影響を見るには被ばくを受けていない『基準集団』と変異率の違いを比べる必要がある。この基準データをどう集めるか。デコード社が明らかにしたように父親の年齢の影響も考慮しなくてはならないから、かなりの人数がいる。環境省は、被ばく線量に応じた違いを見るというが、あいまいな推定値しかないのに、微妙な差を検出できるのか。『変異より解析装置の読み間違いの方が大きく、検出は無理』と見る専門家もいる。

 データの解釈もむずかしい。そもそも、放射線による変異と別の原因による変異は見分けがつくわけではない。被ばくの有無や多寡による違いが見られるなかったとして、『放射線の影響はない』と言い切れるのか。大いに疑問がある。

 実は、被災地には遺伝子解析を含むプロジェクトがある。文部科学省などが担当する『東北メディカル・メガバンク』と、環境しょうが担当する『エコチル調査』だ。前者は震災復興を目的とし岩手・宮城両県で15万人から血液や診療情報を集めゲノム解析も行う。後者は化学物質が子どもの健康に与える影響を調べる全国調査で、原発事故後に福島での放射線の影響も対象に加わった。いずれも、遺伝子情報を扱うだけに研究計画の妥当性に加え論理的対応が問われてきた。当然、福島の解析計画も倫理的配慮が問われる。他の計画との関係も整理する必要があるが、今は研究計画書もなく、唐突感が否めない。

 放射線の人体への影響は広島・長崎のデータが基本となってきた。最新のゲノム科学は取り入れたい。ただし、それは科学的戦略を見極めてから。見通しがはっきりしないまま、解析装置と解読費用に何十億円も費やすわけにはいかない。今はまず、福島県民が日常的な医療や継続した検査を受けられ、いつでも専門家に相談できる体制作りに資金を投じる時ではないだろうか。(専門編集委員会)


環境省の発表

▲福島県民の被曝と遺伝情報解析調査 細野大臣が表明 2012/08/31
細野環境相は「政府としてしっかりと(福島に)向き合っていく。遺伝子の調査はすぐに不安の解消にはつながらないかもしれないが、人間の根源的な遺伝子を調べることで将来への予防になる」と語った。環境省は子どもを中心に調べる方針。
文字起こしをした毎日新聞記事から、該当箇所を拾います。


 低線量被爆の影響を調べるため福島県で遺伝子解析を行う。そんな計画を細野豪志・環境相が明らかにしたのは先月末のことだ。環境省の概算要求によると、対象は5年間で両親と新生児500組(1500人)。血液やさい帯血を採取して全遺伝情報(ゲノム)を解析し、精子や卵子の被ばくによる新しい変異が子どもで増えていないかを確かめる。来年度の要求額は11億9200万円。目的は『福島県で安心して子どもを産み育てることができる環境を実現すること』だ。


上記で、増えていないか確かめるとありますが、確かめる為には比較するものが必要です。

いわゆる『コントロール』と呼んだりします。

この場合、福島原発事故による放射性物質と被ばくの影響を調査するわけですから、自然放射線による被ばく量や食生活が似通っている地域と比較するのでしょう。



 実は、被災地には遺伝子解析を含むプロジェクトがある。文部科学省などが担当する『東北メディカル・メガバンク』と、環境省が担当する『エコチル調査』だ。前者は震災復興を目的とし岩手・宮城両県で15万人から血液や診療情報を集めゲノム解析も行う。後者は化学物質が子どもの健康に与える影響を調べる全国調査で、原発事故後に福島での放射線の影響も対象に加わった。いずれも、遺伝子情報を扱うだけに研究計画の妥当性に加え論理的対応が問われてきた。当然、福島の解析計画も倫理的配慮が問われる。他の計画との関係も整理する必要があるが、今は研究計画書もなく、唐突感が否めない。


東北メディカル・メガバンク計画は、15万人とかなりのサンプル量があります。

エコチル調査については、環境省が主導で、放射線の影響も対象となっています。

研究計画書はないとされていますが、被ばくの影響調査を遺伝子解析で見る、大規模な計画になり兼ねません。その動向を注視すべきと思います。

南相馬市の公的文書

▲福島県南相馬市に、住民を使用しての低線量被曝の研究を示唆した公的文書が存在。児玉龍彦氏の専門分野 2012/05/02

公的文書で言えば、すでに南相馬市が低線量被ばくの研究を推進する環境を整えると明記しています。皆さんは、『東北メディカルメガバンク計画』を知っていましたか?15万人も対象となるのであれば、もっと報道されるべき事象であると管理人は考えます。

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