日本原電の廃炉 倒産と減損損失

日本原電は敦賀原発の廃炉で、倒産の可能性が出ている。日本原電の借入に債務保証をした、電力会社の財務にも影響がでそうだ。


日本原子力発電に倒産の可能性

敦賀原発、廃炉の可能性 日本原電、経営破綻に現実味
SankeiBiz 2012/12/11 08:15
敦賀原発1、2号機(福井県敦賀市)が廃炉になれば、日本原子力発電の経営に甚大な影響を与える。保有する3基の原発のうち2基が消失するためだ。経営破綻の現実味も増し、そうなれば原電に出資する電力各社も債務返済を迫られ、その影響は電力業界全体に広がる。(SankeiBiz)
原発敷地内に活断層が見つかっており、敦賀原発の廃炉の可能性が浮上している。廃炉により、倒産の可能性が示唆されている。

なぜか、出資している電力会社が債務返済をする可能性が示唆されているが、この文章だけでは意味不明だ。株主が債務返済をするのは、別の話だからである。少し、細かく見てみよう。

電力会社が債務保証

原電は原発設備の防災対策を進めるため、今年4月に日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行などから計1040億円を借り入れており、経営難に陥った東京電力を除き、電気の供給を受ける4電力が債務を保証している。(SankeiBiz)
どうやら、電力会社が肩代わりの可能性があるのは、債務保証を行っているからのようだ。本来、経営危機が予想されるため、債務保証は行うべきではない。

電力会社は上場企業のため、株主に対しての丁寧な説明が求められそうだ。

原発廃炉により、損失を計上

電力会社が保有原発の廃炉を決めれば、それまで資産だった原発や核燃料は一転して価値がなくなり、資産の目減り分を損失として処理する必要がある。(SankeiBiz)
製造業の場合、工場の稼働率が一定以下に低下した場合、減損損失を計上する。代表的な企業は、下記の通りだ。
単純に考えると、稼働率がゼロになるため、資産価値がゼロになるのである。勘定科目は、減損損失ではなく、除却損になると思うが、原発、電力会社は特殊なので違う用語を用いるのかもしれない。

さらに、日本原電が廃炉に向けてのお金を十分に積立てていない場合、差額を計上する必要に迫られることになる。

何れにしろ廃炉になると、今まで帳簿上は資産価値があるとされたもののを、価値がないと判断する必要に迫られる。無論、買い手がいれば話は別だが、使用済核燃料や古い原発を欲しがる電力会社がない可能性の方が高い。

廃炉により債務超過

経済産業省の試算では、原電が今年度中に全3基を廃炉にした場合、資産の目減りや廃炉費用で2559億円の損失が出る。11年度末の原電の純資産1626億円と比べ、933億円の債務超過だ。そうなれば金融機関から新たな借り入れができなくなり、経営破綻が現実味を帯びる。(SankeiBiz)
後は、足し算と引き算で分かる話。
  1. 資産-負債=純資産 資産>負債
  2. 純資産1626億円-資産の目減りと廃炉費用2559億円=-953億円 債務超過
さらに、廃炉費用にどういったものを計上しているのかを確認するようがある。管理人の推測であるが、使用済み核燃料費など核廃棄物処理のバックエンドのコストを考えると、さらに債務超過が膨らむのではないであろうか。

日本原電は敦賀原発の廃炉で、倒産の可能性が出ている。日本原電の借入に債務保証をした、電力会社の財務にも影響がでそうだ。

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