日立の原発リトアニアが承認 建設の理由はロシアに対するエネルギー安全保障

日立の原発受注をリトアニア議会が承認しました。
海外契約は初めて。福島第一原発事故後、初の案件になります。


場所

場所が上記。バルト三国、分かりにくいですね。
北から順番にエストニア・ラトビア・リトアニアになります。

リトアニアWiki


リトアニア共和国(リトアニアきょうわこく、リトアニア語: Lietuvos Respublika)、通称リトアニア(リトアニア語: Lietuva)は、ヨーロッパ北東部の共和制国家である。バルト海東岸に南北に並ぶバルト三国の一つであり、北にラトビア、東にベラルーシ、南にポーランド、南西にロシア(カリーニングラード州)と国境を接し、西はバルト海に面している。首都はヴィリニュス。

日立とGE ビサギナス原発を共同受注

議会が賛成多数で承認

日立と原発契約、リトアニア議会が承認 
2012/6/21 22:34


 日立製作所は21日、リトアニア政府と交渉中だった原子力発電所の建設事業権契約について、同国議会が賛成多数で承認したことを明らかにした。リトアニア政府が新設する原発から送電するラトビアなど周辺国から合意を得た後、正式契約する。福島第1原子力発電所事故で国内での原発新設が難しいなか、事故後の日本の原発プラント輸出の第1弾となる。

議会の承認が得られたようです。
ただし、これでまだ決定ではないようです。

リトアニアに建設する原発ですが、ラトビアなど周辺国に送電する契約となっているようです。

 リトアニア政府は2021年の稼働をめざす同国北東部のビサギナス原発新設について、日立に対し11年7月に優先交渉権を与えていた。今年3月、政府と日立の間で建設事業権に関する契約を結び同国議会の承認待ちだった。


後は、議会の承認待ちだったようです。並び替えると下記です。

時系列に並び替え

○2011年7月 日立がリトアニア政府から優先交渉権


○2012年3月 日立がリトアニア政府と契約

○2012年6月 日立と契約をリトアニア議会が承認

<これから> 送電する周辺国の合意を得る

事業規模と契約詳細


 同原発の事業規模は約4000億円とみられる。日立は原発事業で提携する米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同で受注活動を展開した。海外初となる原発受注で実績を積み、東南アジアなど新興国での受注拡大につなげたい考えだ。


 国内重電大手の原発プラント輸出を巡っては、官民一体でベトナムで受注を獲得。東芝は子会社の米ウエスチングハウス(WH)と組みブラジルなどに進出を計画するほか、三菱重工業は仏アレバと組みヨルダンで受注活動を展開している。

○原発の事業規模は、約4000億円

○日立とGEの共同受注となっています。

共同出資プロジェクト

日立、リトアニアで原発建設の事業権獲得 海外で初の受注
2012.3.30 19:10
 同国の国会承認を経て、同社とラトビア、エストニアの周辺諸国を加えた共同出資のプロジェクト会社が、今年夏頃をめどに原発建設の事業権を正式に獲得する見込みだ。

この原発建設ですが、リトアニアの単独案件ではなくラトビア、エストニアの共同出資プロジェクトとなっています。緑の国の北、もう1つ北の国がこの二カ国になります。


ロシアのリスク

物語 バルト三国の歴史―エストニア・ラトヴィア・リトアニア (中公新書)
 

なぜ、このような巨大原発を作ろうとしたかというと、ロシアが要因のようです。
バルト三国が、ロシアの侵略や植民地として苦しめられてきたことは有名ですね。

EUのエネルギー政策とロシア要因について p5
 なお、原発ビジネスを強化しようとしているロシア* 7は、カリーニングラードの原子力発電所(バルト電力プラント)建設に着手している。これをEU主導のナブッコ・パイプラインとロシア主導のサウスストリームの競合に擬なぞらえて、ロシアがリトアニア原発潰つぶしを狙っているとする見方もあるが、それは一面的な評価であろう。


 一方で、確かにヴィサギナスにはバルト3 国とポーランドというロシアに対する警戒心の強い国が参加していることからも分かるように、安全保障政策の一環と考えられる。


 他方で、ロシアがカリーニングラードに原子力発電所を建設する最大の理由は、これまで経済特区や連邦からの隠れた補助金など多大なコストをかけて、かろうじて維持してきたカリーニングラード ――リトアニアとポーランドに挟まれたEU内に存在するロシアの飛び地―― の維持コストを電力輸出によって補い、領土に対する支配権を確実なものにしたいという思惑である。


 前者にせよ、後者にせよ、その発想の根底にあるのは「国家の安全保障」である。


文中に出てくるカリーニングラードは、リトアニア(緑の国)の横の小さい場所。
ロシアの飛び地です。


この地域、天然ガスのパイプライン敷設でも火花を散らしています。

今回の原発建設計画は、ヨーロッパのエネルギー安全保障の観点から見た、地域の覇権争いの一環のようです。

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